サントリー山崎蒸溜所では、常時、無料の工場見学と有料のセミナーが行われています。
セミナーは、ウイスキー入門、シングルモルトの楽しみ方など、ウイスキーにまつわる様々なテーマが設けられています。
この秋新しく「シングルモルトウイスキー山崎」をテーマにした「THE YAMAZAKI」というセミナーが始まりました。
「サントリーウイスキー蒸溜所ブログ」でも紹介されています。
http://yamazaki-d.blog.suntory.co.jp/004961.html
5年くらい前からセミナーに参加するようになったのですが、山崎そのものをテーマにしたセミナーは初めて見たので、とても楽しみにして参加してきました。
山崎蒸溜所の最寄り駅は、JR山崎駅、阪急大山崎駅です。今回はJR山崎駅から蒸溜所に向かいました。駅には案内広告も出ています。
駅を出て住宅街を10分ほど歩くと、蒸溜所に到着します。
山崎ウイスキー館
蒸溜所には、見学者用に「山崎ウイスキー館」という施設があります。
ウイスキー館には、サントリーとサントリーウイスキーの歴史に関する展示、ウイスキーライブラリー、ファクトリーショップ、テイスティングカウンターなどがあり、ウイスキー好きにはとても楽しめる施設です。
山崎蒸留所には何度も来ているのですが、何度見ても、サントリーウイスキーの歴史は興味深く、ウイスキーライブラリーは壮観です。
日本初の国産ウイスキーは、1929年発売の「白札」です。「白札」は、煙臭い、焦げ臭いという評判で当時の日本人の嗜好には合わず評判はいまひとつだったそうです。
スモーキー、ピーティーだったということでしょうか。スモーキーなウイスキーも輸入されている現在では、特にウイスキー好きに受け入れられるかもしれません。復刻品を飲んでみたい気がします。
ウイスキーライブラリーには、年数、麦芽、酵母、蒸溜釜の違いによるモルト原酒、ラフロイグやボウモアなど海外蒸溜所のウイスキーも展示されています。
ファクトリーショップには、市販のウイスキーの他、蒸溜所限定のウイスキー、グラス類、樽材を使ったコースターなどの雑貨類も並んでいます。ここでお土産を買うのも楽しみです。
テイスティングルームでは、山崎・白州のシングルモルトウイスキーの他、響・ボウモアなどサントリーの製造・販売するブレンドウイスキー、海外のウイスキーの試飲もできます。バーなどと比較すると、かなり低価格で試飲ができます。サントリーのウイスキーを低価格でいろいろな種類試飲できる場所です。
ウイスキー館で展示を見た後、いよいよセミナー「THE YAMAZAKI」です。
セミナーは、大きく蒸溜所の見学と、セミナールームでのガイドの方とビデオによる解説・テイスティングという内容です。ビデオにはチーフブレンダーの福與伸二さんも登場します。
蒸溜所見学
蒸溜所見学は、工程にそって、仕込み・発酵、蒸溜釜、貯蔵庫の順で見ていきました。
最初は、仕込みと発酵の工程です。仕込みは、原料の麦と水から麦汁を製造する工程です。
山崎の地の仕込み水は、軟水の中でも硬度は高めで、これが重厚さ華やかさを生み出すそうです。
見学コースの発酵工程には、木桶が並んでいます。ステンレスの発酵槽も使われているそうですが、木桶を使うのがこだわりで、メンテナンスの手間はかかりますが、保温性に優れ、木桶に棲む山崎の地の天然乳酸菌も個性を生み出す元になるとのことです。
次は、蒸溜工程です。蒸溜室に入った瞬間に、熱気、蒸気、焼きリンゴの様な香りに包まれます。様々な形の蒸溜釜が並んでいるのは何度見ても壮観です。
蒸溜釜の形によって、蒸留後のニューポットの香りと味が異なるとのこと。スコットランドなどでは、蒸溜所の間の原酒のやり取りで多彩な原酒が揃えられるため、一つの蒸溜所にこれほど多くの形の蒸溜釜があることはないそうです。山崎は、一つの蒸溜所の中に多数の蒸溜所があるようなものだそうです。
生まれたての原酒ニューポットが注ぎ出るところです。
最後に貯蔵庫の見学です。薄暗い貯蔵庫の中に無数の樽が並んでいるところは、静かな迫力があります。貯蔵庫に入ると、樽とウイスキーの香りに包まれます。
貯蔵樽は、ホッグスヘッド、バーレル等複数の種類、複数のサイズがあり、当然ながら、それぞれの樽で、熟成後の味・香りが異なるそうです。特にミズナラ樽が、日本独自の樽として特色があり、お香のような香りの原酒ができるそうです。
樽の中のウイスキーは、年に2〜3%減っていくそうです。そのため、昨年発売された、貴重な山崎50年の価格は100万円とのこと。1ショットでも相当の値段がすると思うので、一生飲む機会はないだろうなあと思いながら聞いていました。
テイスティング
セミナーのメインは、テイスティングです。
蒸溜所見学を終えると、テーブルにテイスティングのセットが用意されていました。これを見るだけでワクワクします。チェイサーは、山崎の仕込み水です。
テイスティングの前にウエルカムドリンクとして新山崎のハイボールをいただきました。サントリー推奨のグラスに氷をたっぷり入れたハイボールです。まずはこちらをおいしくいただきました。
最初のテイスティングは、新山崎、山崎12年、山崎18年の飲み比べです。ウイスキー1に水1を加えたトゥワイスアップです。ブレンダーのテイスティングも、このトゥワイスアップで行われるそうです。
新山崎の紹介もありました。新山崎は、軽やかで飲みやすいということに焦点をあてた山崎で、いちご・さくらんぼ等ベリー系の香りがするのが特徴とのことです。確かに、飲みやすさ、ベリー系の香りを感じました。
山崎12年と飲み比べると、新山崎の軽やかさ、山崎12年の複雑さが際だって分かります。
山崎18年は別格です。解説にもあったのですが、熟した柿の様な香り・味の中に少しスパイシーな風味を感じます。
次のテイスティングは、山崎12年での加水体験です。ウイスキーは、ストレートで楽しむ人も多いですが、少し水を加えると、香りが広がるそうです。
一つのグラスはストレートのままで、もう一つのグラスのウイスキーにティースプーンで水を加えていき、飲み比べて違いを体感します。
他のセミナーで、グラスから水を加水する方法は行ったことがありましたが、ティースプーンを使うのは初めてです。グラスにティースプーンで1杯、2杯、3杯と加水していくと、香りが広がっていくのがわかりました。
最後に、山崎18年でオンザロックスを作りました。ハーフロックグラスに大きめの氷をたっぷり入れ、マドラーで氷を回し、グラスを冷やします。
ここで溶けた水を捨て、氷が減った場合はさらに氷を加えます。そこに山崎18年を注ぎます。山崎18年の贅沢なオンザロックスの完成です。こちらももちろんおいしくいただきました。
セミナーのお土産は、オリジナルショットグラスをいただきました。セミナー限定の非売品とのことです。大事に愛用したいと思います。
ファクトリーショップでは、蒸溜所限定のシリアルナンバー入り山崎と、ハーフロックグラスを買って帰りました。シリアルナンバー入り山崎は、僕は自分で飲むために買ったのですが、蒸溜所オリジナル品なので、ウイスキー好きの方へのお土産にもお勧めです。
ウイスキーの様な嗜好品は、歴史、背景、作り手のこだわりを知ることで、楽しみが増します。今回参加した「THE YAMAZAKI」は、「シングルモルトウイスキー山崎」をより深く知ることができ、堪能できるとても良いセミナーでした。今は特別セミナーとのことですが、是非定番セミナーになってほしいと思います。